輸入小麦に除草剤の成分が入っているだと!?



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先日、ネットニュースで報じられていたのですが、「国内で販売される小麦製品の約7割からモンサントの除草剤「グリホサート」検出」という記事がありました。除草剤が入っている小麦粉の輸入なんて、困りますよ。

国内産の小麦からは検出されず、輸入小麦に原因

その調査レポート(こちらを参照ください)によると、海外では、小麦の収穫前に除草剤グリホサートを散布するプレハーベスト処理が恒常化しているといわれています。農林水産省の調査でも、カナダ、アメリカ産の輸入小麦には9割を超える検出率でグリホサートの残留が見つかることが示されています。私たちの身の回りは小麦製品で溢れていますが、どのぐらいグリホサートが残留しているのか調査をおこなってみたそうです。

日本は、年間530万トンほどの小麦を、アメリカ、オーストラリア、カナダ、フランスから輸入しています。このような輸入小麦について、農林水産省が実施した船積時検査の結果「米麦の残留農薬などの分析結果」によれば、2008年から今日に至るまでのデータを見ても、アメリカでは9割以上、カナダではほぼすべてと呼べる水準で、小麦からグリホサートが検出されている事が示されています(表1)。

私たちの身の回りには、輸入された小麦を利用した製品が数多くあります。しかし、この輸入の実態に対して、普段、食べている小麦製品中に、どの程度、グリホサートが残留しているのかはよくわかっていません。検出頻度、検出濃度などを探るため、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンさんと共同調査をおこなってみました。その結果、小麦製品からもグリホサートが検出されることがわかってきました。

その結果、ちょっと問題じゃないか!?というものでした。
なんとアメリカ産で97%、カナダ産に至っては100%の検出率だったというのです。

表1 農林水産省による輸入小麦のグリホサート残留分析結果(2017前期・後期)

検査点数

検出があった点数

検出率(%)

基準値違反

アメリカ

139

135

97

0

オーストラリア

37

6

16

0

カナダ

75

75

100

0

フランス

15

2

13

0

*農林水産省「米麦の残留農薬などの分析結果:輸入米麦の残留農薬等の分析結果で公開されている 平成29年度後期(PDF : 489KB)平成29年度前期(PDF : 690KB)レポートから作成。

一応、調査レポートには中期もありますので、慌てふためくような感じではないようです。

日本の食品衛生法のグリホサートの残留基準値には、小麦粉やパスタ、マカロニなどに基準は設けられていません。このため、まず一律基準の0.01ppmを当てはめて検出値を考えることになります。この場合、いくつかの検体では、超過に相当することになりますが、実際には、それぞれの製品の加工係数を考慮し、原材料の小麦に戻した場合、小麦の基準値を超過するかどうかで判断を行います。小麦から小麦粉、パスタなどへの加工係数は、小さいと考えられるうえ、小麦の基準値自体が30ppmという、大幅緩和(平成29年厚生労働省告示第361号/2018年12月25日公布)によって、大きな数字が設定されているため、加工係数を大きめに考慮したとしても、今回の結果からは、基準値を超過する小麦を使用して製造された製品があった可能性は低いと考えられます。検出が認められた試料は、いずれも食品衛生法上の判断では、問題はなく安全であると評価される仕組みにあります。

プレハーベスト処理とは何!?

プレハーベスト処理とは、収穫前の小麦に対してグリホサートを散布することによって、雑草が枯れ、機械作業性などが改善、汚粒発生を防ぎ、品質向上が狙える除草剤の散布方法です。除草剤の効果で小麦の乾燥を加速・コントロールできる事から、収穫タイミングを調整したり、収穫物の乾燥品質を均一化できるという狙いもあると指摘されています。この処理は、別名「Harvest aid」や「Green burndown」という名前でも呼ばれており、1980年代に、スコットランドで始まったようです。

収穫タイミングの調整が難しい寒冷地などでは、通常の栽培に比べて、2週間収穫期を早めることができる、というメリットもがあるようです。

今回の調査では、全粒粉でのグリホサート検出が目立ちますが、その理由としてはプレハーベスト処理によって付着したグリホサートを多く含む、外皮いわゆる「ふすま」部分を多く含みためと考えられるようです。全粒粉を含む製品は、栄養価から選ばれることが多い製品ですが、グリホサートの残留を気にする消費者にとっては、この結果は悩ましい傾向を示すものである、と指摘しています。

では、そのグリホサートとは何ぞ!?ということになりますが、グリホサートはモンサント社が開発した除草剤です。40年以上、農業者だけでなく、さまざまな分野で利用されてきた「世界で最もよく知られ、使われ、効果を上げてきた除草剤」なのだそうです。
その普及の様子は、ホームセンターに出かけて、除草剤コーナーで商品を手に取れば、ほぼ、そのほとんどがグリホサートを含んでいるというほど普及しているものなのだそう。

グリホサートの人体や環境への影響については、長らく議論が続けられており、近年、国際がん研究機関(IARC)によって「おそらく人に発がん性がある(2A)」に区分されたり、発がん性を問うアメリカの裁判で320億円の賠償命令がメーカーに下ったり、ワシントン大学の研究チームが、使用者は、がん発症率が高まると発表する(リンク1/ リンク2)など、影響を認める話題が続いており、注目と関心が集まっています。一方、メーカーやFAO/WHOの合同会議、米国立衛生研究所(NIH)、合同残留農薬会議(JMPR)、また日本の食品安全委員会のほか、いくつかの国の農薬評価では、発がん性、遺伝毒性は認められないと結論しており、メーカーや行政と市民側とで、求める到着点が大きく異なる展開となっています。

我々消費者からすると、可能な限り農薬や除草剤を使わないで欲しいと願う一方、それらを使わない生産方法の場合、収穫量の減少やコストの上昇により、いわゆる「お手頃価格」での食品調達が困難になるというトレードオフな関係があります。

過剰な怯えは必要ないかもしれませんが、今後の調査から目が離せない記事だと思います。

詳細は以下から。
http://earlybirds.ddo.jp/bunseki/report/agr/glyphosate/wheat_flour_1st/index.html