輸入小麦の政府売渡価格はまだまだ上がる!



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平成30年9月11日、農林水産省より「輸入小麦の政府売渡価格の改定について」のプレスリリースが発表されています。これによりますと、平成30年3月6日に引き続き、5銘柄加重平均(税込価格)で55,560円/トン、2.2%の引上げとなります。

小麦の流通の概要

  • 小麦は需要量の約9割を外国から輸入。
  • 国内産小麦は民間流通により取引されており、国内産小麦では量的 又は質的に満たせない需要分について、政府が国家貿易により外国産小麦を計画的に輸入し、需要者に売り渡しているところ。
  • また、米とは異なり、最終的にパンや麺として消費するため、各種の加工工程を経て流通。
  • 小麦は、主に製粉企業が製粉して小麦粉にし、その小麦粉を原料として二次加工メーカーがパン・麺・菓子等を製造。
小麦の流通の現状(食糧用)
小麦の流通の現状(食糧用)

注:流通量は過去5年(H25~H29年度)の平均数量である。


小麦の種類と用途

  • 原料として使用される小麦の種類は、小麦粉の種類・用途に応じて異なっているところ。
  • 小麦粉の種類は、たんぱく質の量によって、強力粉(パン用)、準強力粉(中華麺用)、中力粉(うどん用)、薄力粉(菓子用)に分類。
小麦の種類と用途
小麦の種類と用途

注1:輸入数量及び国内産小麦流通量は、過去5年(H25~H29年度)の平均数量である。 注2:輸入数量は、5銘柄以外の銘柄(デュラム小麦等)31万トンを含む。 注3:国内産小麦流通量は、集荷団体からの聞き取り数量である。

現行の輸入小麦の政府売渡制度

  • 輸入小麦の政府売渡価格は、輸入価格(過去の一定期間における輸入価格の平均値)に、マークアップ(政府管理経費及び国内産小麦の生産振興対策に充当)を上乗せした価格。
  • 国際相場の変動の影響を緩和するため、価格改定は年2回とするとともに、直近6か月間の平均買付価格をベースに算定
現行の輸入小麦の政府売渡制度
現行の輸入小麦の政府売渡制度

穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移

  • シカゴ商品取引所における小麦相場は、①EU等での乾燥天候による減収が見込まれること、②米国及び豪州の一部地域の乾燥による減収懸念から、30年10月期算定期間の平均価格は、前期(30年4月 期)に比べて上昇。
穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移
穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移

注:1bu(ブッシェル)=(大豆、小麦:27.2㎏、とうもろこし:25.4㎏)

世界全体における小麦の需給動向

(資料:米国農務省「穀物等需給報告(2018/19)」平成30年8月10日公表)

  • 生産量:730百万トン(対前年度比 3.7%減) :露、EU等で減少、米、カナダ等で増加
  • 消 費 量:744百万トン( 〃 0.2%増) : 中、印、米等で増加、露、EU等で減少 ・期末在庫率:34.8%(対前年度差 2.0ポイント減)



海上運賃の動向

  • 海上運賃は、燃料油価格の影響により上昇し、30年10月期の算定期間では平均49ドル/トン。
海上運賃の動向
海上運賃の動向

注:2万トン級のフレート(WORLD MARITIME ANALYSISより)

為替の動向

  • 為替は、算定期間中の一時的円高が影響したことから、30年10月期の算定期間では平均110円/ドル。
為替の動向
為替の動向

注:対米ドル 直物為替TTS(Telegraphic Transfer Selling Rate :対顧客電信売)

輸入小麦の政府売渡価格の推移

  • 輸入小麦の政府売渡価格は、小麦の国際価格、海上運賃、為替等の動向を反映した買付価格により変動。
  • 輸入小麦の直近6ヶ月間(平成30年3月第2週~平成30年9月第1週)の平均買付価格は、①米国及び豪州の一部地域の乾燥による減収懸念等から小麦の国際価格が上昇、②燃料油価格の影響により海上運賃が上昇したことから、前期に比べ上昇。
  • この結果、30年10月期の政府売渡価格は、55,560円/トン+2.2%の引上げ
輸入小麦の政府売渡価格の推移
輸入小麦の政府売渡価格の推移

注:平成25年10月期以前は、消費税5%込みの価格であり、平成26年4月期以降は、消費税8%込みの価格である。

(単位:円/トン)
政府売渡価格 30年4月期 30年10月期 対前期比
5銘柄加重平均(税込み) 54,370 55,560 +2.2%



(参考)物価・家計への影響

  • パンや麺等の小麦粉関連製品の小売価格に占める原料小麦代金の割合はそれほど大きくなく、今回の政府売渡価格の改定が消費生活に与える影響は限定的

今回(30年10月期)の小麦の政府売渡価格の改定が消費者物価指数に与える影響

+0.002% 程度

※ 小麦粉製品に占める小麦の価格のみに着目し、当該価格が全て 今回の政府売渡価格の改定を反映していることを前提として試算。

小麦粉製品への影響額(試算)

 小売価格(※1 ) 改定による影響額(試算)(※2 )
 食パン 168円/1斤 +0.1円/1斤
うどん(外食) 631円/1杯 +0.4円/1杯
 小麦粉(家庭用薄力粉) 252円/1kg +3.8円/1kg
  • ※1:小売価格は、総務省「小売物価統計調査」(東京都区部、30年7月)による。
  • ※2:小麦粉製品ごとの原料小麦代金の割合、原料小麦の価格改定率により試算。
  • ※3:食パン1斤は400gとして試算。
  • ※4:小麦粉製品に占める小麦の価格のみに着目し、当該価格が全て今回の政府売渡 価格の改定を反映していることを前提として試算。

補足:H30年7月時点の東京都区部の食パン1㎏の小売価格は421円、1斤400g=1㎏2.5斤 → 421円÷2.5斤=168.4円/斤

製粉企業の小麦粉価格の改定時期

原料小麦の政府売渡価格の改定に伴い、製粉企業が小麦粉価格を改定するのは、各事業者の在庫状況にもよるが、過去の例では約3か月後

(参考) 小麦関連製品の小売価格に占める原料小麦代金の割合

  • 食パン 7%
  • うどん(外食) 1%
  • ゆでうどん 7%
  • 即席麺(カップ麺) 1%
  • 小麦粉(家庭用薄力粉) 25%



小麦価格のまとめ

「輸入小麦の政府売渡価格の推移 」にある通り、平成28年10月期に48,470円だった1トン当たり価格は、平成30年10月期(今回)では 55,560円となり、この2年間で1トン当たり7,090円(14.6%)の値上げとなっています。

家庭への影響は「限定的」とはいえ、前回4/11後の製粉会社対応は、6月20日出荷分から業務用小麦粉の値上げとなりました。

  • 日本製粉…強力系・中力系・薄力系」:25キログラムあたり65円、国内産小麦100%は同70円値上げ
  • 昭和産業…「強力粉・準強力粉」「中力粉・薄力粉」「内麦100%粉」:25キログラムあたり65円の値上げ
  • 日清製粉…25キログラムあたり65円の値上げ