2018年はいきなり小麦粉の値上げ!



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2018年1月4日は小麦粉の値上げ日です。
日清フーズ日本製粉昭和産業の大手製粉メーカーは本日の出荷分から、家庭用小麦粉製品を1~4%程度値上げします。
これに先立ち、業務用は2017年12月20日出荷分から、すでに値上げされています。
デフレ脱却という意味では良いのかもしれませんが、今後の消費税増税も踏まえると、消費者としては微妙な気持ちです。
ところで、何の理由で値上げをするのでしょうか?(最新の輸入小麦の政府売渡価格

小麦粉の値上げの理由は?

小麦粉の値段が上がる理由は、各社の値段を上げる理由に記載されている通り、「小麦の政府売渡価格が、本年10月1日より5銘柄平均で4.1%引き上げられたことに伴い…(中略)」とあるように、国(農林水産省)により管理されていることが関係します。

農林水産省では平成29年9月6日に、「輸入小麦の政府売渡価格の改定について」というプレスリリースの中で小麦粉の売り渡し価格の増加を通知しています。
価格改定の理由は、輸入小麦の直近6か月間(平成29年3月第2週~平成29年9月第1週)の平均買付価格が上昇したことであり、以下の3点が主な原因のようです。

  1. 米国・豪州において、小麦の生育期の降水量が少なく、減収懸念から価格が上昇したこと
  2. 輸送需要の増加により海上運賃が上昇したこと
  3. 為替が円安傾向で推移したこと等

小麦の流通の概要

プレスリリースに添付されている資料には、その詳細が記載されており、その抜粋は以下の通りです。

  • 小麦は需要量の約9割を外国から輸入。国内産小麦は民間流通により取引されており、国内産小麦では量的又は質的に満たせない需要分について、政府が国家貿易により外国産小麦を計画的に輸入し、需要者に売り渡しているところ。

  • また、米とは異なり、最終的にパンや麺として消費するため、各種の加工工程を経て流通。

  • 小麦は、主に製粉企業が製粉して小麦粉にし、その小麦粉を原料として二次加工メーカーがパン・麺・菓子等を製造。

小麦の流通の概要
小麦の流通の概要

出典:農林水産省

現行の輸入小麦の政府売渡制度

  • 輸入小麦の政府売渡価格は、輸入価格(過去の一定期間における輸入価格の平均値)に、マークアップ(政府管理経費及び国内産小麦の生産振興対策に充当)を上乗せした価格。

  • 国際相場の変動の影響を緩和するため、価格改定は年2回とするとともに、直近6か月間の平均買付価格をベースに算定。

現行の輸入小麦の政府売渡制度
現行の輸入小麦の政府売渡制度

出典:農林水産省

穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移(参考)

それでは最近の穀物の国際価格はどうか、という資料も掲載されています。

  • シカゴ商品取引所における小麦相場は、米国、豪州において生育期の降水量が少なく、減収懸念から上昇。7月末以降世界的に潤沢な在庫・供給量を背景に下落しているものの、29年10月期算定期間(平成29年3月2週~9月第1週)の平均価格は前期に比べ上昇。

穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移
穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移

出典:農林水産省

海上運賃の動向

  • 海上運賃は、輸送需要の増加を受けて上昇し、29年10月期算定期間では42ドル/トン。

海上運賃は、輸送需要の増加を受けて上昇し、29年10月期算定期間では42ドル/トン。
海上運賃は、輸送需要の増加を受けて上昇し、29年10月期算定期間では42ドル/トン。

出典:農林水産省

為替の動向

  • 為替は、29年4月期の算定期間は平均111円/ドルであったが、29年4月以降は比較的円安で推移したことから、29年10月期の算定期間では平均112円/ドル。

為替の動向
為替の動向

出典:農林水産省

輸入小麦の政府売渡価格の推移

  • 輸入小麦の政府売渡価格は、小麦の国際相場、海上運賃、為替等の動向を反映した買付価格により変動。

  • 輸入小麦の直近6ヶ月間(平成29年3月第2週~平成29年9月第1週)の平均買付価格は、①米国及び豪州の降水量が少なく減収懸念から価格が上昇、②輸送需要の増加により海上運賃が上昇、③為替が円安で推移したことから、前期に比べ上昇。

  • この結果、29年10月期の政府売渡価格は、52,510円/トン、3.6%の引上げ。

輸入小麦の政府売渡価格の推移
輸入小麦の政府売渡価格の推移

出典:農林水産省

(参考)物価・家計への影響

一通り値上げとなる理由の根拠資料を提示したうえで、家庭への影響についても示しています。

  • パンや麺等の小麦粉関連製品の小売価格に占める原料小麦代金の割合はそれほど大きくなく、今回の政府売渡価格の改定が消費生活に与える影響は限定的。
  • 今回(29年10月期)の小麦の政府売渡価格の改定が消費者物価指数に与える影響…+0.003%程度 ※小麦粉製品に占める小麦の価格のみに着目し、当該価格が全て今回の政府売渡価格の改定を反映していることを前提として試算。
  • 製粉企業の小麦粉価格の改定時期…原料小麦の政府売渡価格の改定に伴い、製粉企業が小麦粉価格を改定するのは、各事業者の在庫状況にもよるが、過去の例では約3か月後。
  • 小麦粉製品への影響額(試算)
    (※1小売価格)(※2改定による影響額(試算))
    食パン175円/1斤→+0.2円/1斤
    うどん(外食)640円/1食→+0.5円/1食
    小麦粉(家庭用薄力粉)236円/1kg→+4.5円/1kg
    ※1:小売価格は、総務省「小売物価統計調査」(東京都区部、29年7月)による。
    ※2:小麦粉製品ごとの原料小麦代金の割合、原料小麦の価格改定率により試算。
    ※3:食パン1斤は400gとして試算。
    ※4:小麦粉製品に占める小麦の価格のみに着目し、当該価格が全て今回の政府売渡価格の改定を反映していることを前提として試算。
  • (参考)小麦関連製品の小売価格に占める原料小麦代金の割合
    ・食パン8%
    ・うどん(外食)1%
    ・ゆでうどん6%
    ・即席麺(カップ麺)1%
    ・小麦粉(家庭用薄力粉)23%

まとめ

ということで、理由はたくさんありますが、家庭への影響は軽微ということが今回の報告資料のようです。
前出の「小麦の政府売渡価格の改定が消費者物価指数に与える影響…+0.003%程度」については、あくまでも消費者物価指数に与える「経済全体から見た」影響であり、個々の製品に対する影響ではないという点には要注意です。
結果として、各メーカーは政府売渡価格と同程度の値上げを今回の消費者向け製品の価格にしっかり転嫁しています。
スーパーでは数十円程度の値上げが今後は予想されます。
また、小麦製品を使う外食企業(例えば、うどん屋やパンケーキ屋)では、コッソリと値段を上げなくてはいけないかもしれませんね。
一時的な値上げなら仕方ないですが、政府売渡価格が下がった際は、ちゃんと還元されると良いですね。