2020年、小麦の価格がようやく下がるかな!?



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農林水産省は、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第42条第2項」に基づき売り渡す輸入小麦の令和元年10月期の政府売渡価格を決定しました。

政府売渡価格の改定内容 2019年9月期 概要

輸入小麦の直近6ヶ月間(平成31年3月第2週~令和元年9月第1週)の平均買付価格は、米国産小麦の収穫増の見通しや世界的に供給量が潤沢であるとの見込み等を受け軟調に推移したこと、為替が円高で推移したこと等により、前期に比べ下落しました。

この結果、令和元年10月期(令和元年10月~)の輸入小麦の政府売渡価格は、政府売渡価格の改定ルールに基づき、直近6か月間の平均買付価格を基に算定すると、5銘柄加重平均(税込価格)で49,890円/トン、8.7%の引下げとなります。

(単位:円/トン)

政府売渡価格 31年4月期 令和元年10月期 対前期比
5銘柄加重平均(税込み) 54,630 49,890 ▲8.7%

注:5銘柄の内訳

アメリカ産ダーク・ノーザン・スプリング(DNS) 主にパン・中華麺用
カナダ産ウェスタン・レッド・スプリング(1CW) 主にパン用
アメリカ産ハード・レッド・ウィンター  (HRW) 主にパン・中華麺用
オーストラリア産スタンダード・ホワイト(ASW) 主に日本麺用
アメリカ産ウェスタン・ホワイト(WW) 主に菓子用

小麦の流通の概要

毎回のおさらいですが、小麦の流通について、農林水産省から資料が出ていますので、お勉強です。

  • 小麦は需要量の約9割を外国から輸入しています。国内産小麦は民間流通により取引されており、国内産小麦では量的又は質的に満たせない需要分について、政府が国家貿易により外国産小麦を計画的に輸入し、需要者に売り渡しています。
  • 米とは異なり、最終的にパンや麺として消費するため、各種の加工工程を経て流通します。
  • 小麦は、主に製粉企業が製粉して小麦粉にし、その小麦粉を原料として二次加工メーカーがパン・麺・菓子等を製造しています。
小麦の流通の現状(食糧用)
小麦の流通の現状(食糧用)

注:流通量は過去5年(H26~H30年度)の平均数量である。

小麦の種類と用途

  • 原料として使用される小麦の種類は、小麦粉の種類・用途に応じて異なります。
  • 小麦粉の種類は、たんぱく質の量によって、強力粉(パン用)、準強力粉(中華麺用)、中力粉(うどん用)、薄力粉(菓子用)に分類されます。
小麦の種類と用途
小麦の種類と用途

注1:輸入数量及び国内産小麦流通量は、過去5年(H26~H30年度)の平均数量である。
注2:輸入数量は、5銘柄以外の銘柄(デュラム小麦等)30万トンを含む。
注3:国内産小麦流通量は、集荷団体からの聞き取り数量である。

現行の輸入小麦の政府売渡制度

  •  輸入小麦の政府売渡価格は、輸入価格(過去の一定期間における輸入価格の平均値)に、マークアップ(政府管理経費及び国内産小麦の生産振興対策に充当)を上乗せした価格で決定されます。
  • 国際相場の変動の影響を緩和するため、価格改定は年2回とするとともに、直近6か月間の平均買付価格をベースに算定されます。
現行の輸入小麦の政府売渡制度
現行の輸入小麦の政府売渡制度

穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移

  • シカゴ商品取引所における小麦相場は、①本年5月中旬以降、米国産地での降雨により品質等の悪化が懸念されたことから一時上昇しましたが、②7月中旬以降、米国産小麦の収穫増の見通し世界的に供給量が潤沢であるとの見込み等を受け軟調に推移したことから、令和元年10月期算定期間(平成31 年3月第2週~令和元年9月第1週)の平均価格は前期に比べて下落しました。
穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移
穀物の国際価格(シカゴ相場)の推移

海上運賃の動向

  • 輸入小麦の政府売り渡し価格は配送にかかる海上運賃の影響もうけます。その海上運賃は、米国における船舶需給の緩和等により、最近では45ドル/トン程度で推移しています。
  • 31年4月期算定期間 平均47ドル/トンから令和元年10月期算定期間 平均45ドル/トンと下がっています。
海上運賃の動向
海上運賃の動向

為替の動向

  • 為替は、 令和元年10月期の算定期間において、後半は円高で推移したことから、平均110円/ドル。
為替の動向
為替の動向

輸入小麦の政府売渡価格の推移

  • 輸入小麦の政府売渡価格は、小麦の国際価格、海上運賃、為替等の動向を反映した買付価格により変動します。
  • 輸入小麦の直近6ヶ月間(平成31年3月第2週~令和元年9月第1週)の平均買付価格は、①米国産小麦 の収穫増の見通しや世界的に供給量が潤沢であるとの見込み等を受け軟調に推移したこと、②為替が円高で推移したこと等により、前期に比べ下落しました。
  • この結果、令和元年10月期の政府売渡価格は、49,890円/トン、8.7%の引下げとなりました。
輸入小麦の政府売渡価格の推移:令和元年10月期の政府売渡価格は、49,890円/トン、8.7%の引下げ。
輸入小麦の政府売渡価格の推移:令和元年10月期の政府売渡価格は、49,890円/トン、8.7%の引下げ。

物価・家計への影響

毎度のことながら、その価格改定は我々庶民にどの程度の影響を与えるのか、ということを机上論ですが試算しています。

  • パンや麺等の小麦粉関連製品の小売価格に占める原料小麦代金の割合はそれほど大きくなく、今回の政府売渡価格の改定が消費生活に与える影響は限定的であるとされます。
  • 今回(令和元年10月期)の小麦の政府売渡価格の改定が消費者物価指数に与える影響
    ▲0.007% 程度
    ※ 小麦粉製品に占める小麦の価格のみに着目し、当該価格が全て今回の政府売渡価格の改定を反映していることを前提として試算。
  • 製粉企業の小麦粉価格の改定時期
    原料小麦の政府売渡価格の改定に伴い、製粉企業が小麦粉価格を改定するのは、各事業者の在庫状況にもよるが、過去の例では約3か月後

小麦粉製品への影響額(試算)

  • 食パン 174円/1斤 → ▲1.1円/1斤
  • うどん(外食) 647円/1杯 → ▲0.5円/1杯
  • 小麦粉(家庭用薄力粉)266円/1kg → ▲5.5円/1kg

小麦関連製品の小売価格に占める原料小麦代金の割合

  • 食 パ ン 7%
  • うどん(外食) 1%
  • ゆでうどん 7%
  • 即席麺(カップ麺) 1%
  • 小麦粉(家庭用薄力粉) 25%

今回の政府売り渡し価格は、前期(31年4月期)と比較し▲8.7%と下がったものの、消費税増の影響もあり、消費者にとってはあまり影響のないことかもしれません。

出典:プレスリリース「輸入小麦の政府売渡価格の改定について」